テーマと趣旨
第29回サイバー犯罪に関する白浜シンポジウム テーマ
アイデンティティーを問い直す:匿名、なりすまし、ペルソナ、そして人ならざるもの
≪趣旨≫
個人情報保護法の全面施行から20年を経て、プライバシーに関する意識が高まりました。この間にも個人情報の漏洩や窃取は横行しましたが、多くの人は個人情報を他者に渡すことに慎重になり、自衛のために個人を特定しうる情報を提供せずに匿名や仮名でネット活動を活発に行うようになりました。SNSの隆盛はその象徴であるといえます。
このようにペルソナ(ネット上の人格)と自然人(リアルな人格)との結びつきは曖昧になり、そのことが犯罪を誘発する事態にもなっています。ネットの匿名性をいかしたなりすましや誹謗中傷は大きな社会問題になっています。
犯罪者の側もこの匿名性を積極的に生かすようになっており、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が暗躍する素地を作っているといえます。犯罪捜査の上ではネットの匿名性は大きな障害です。
これに加えて最近は生成AIの発達により、実在しない人の画像や動画がネットに溢れるようになりました。ついにはAIによって模倣された人格がネット上に現出し、実在しない被害者・被疑者が生じる可能性によって犯罪捜査がかく乱される事態も生じ始めています。
今回の白浜シンポジウムでは、「ネット上のアイデンティティ」の変化がもたらす諸問題を扱います。匿名性問題、ネット上での個人認証や本人確認の問題、人のように振る舞うAIなどの現状を整理し、近い将来に起きうる犯罪についても議論します。皆様のご参加をお待ちしています。